2025年2月、誰にも気づかれずに詰められていた1人の女の子の遺体が、230 kgの金属衣装ケースの中から発見されました。
場所は大阪府八尾市。
加害者となったのは、その子の“身内”とも言える存在でした。
この事件は単なる残虐事件ではありません。
“行政の枠外で見えなくなった子ども”という、社会構造の危うさを突きつけるものでした。
本記事では
- 大阪女児コンクリート詰め事件・住民票削除、制度の盲点、家族の隙間――“紙の上から消えた命”
を通じて制度と社会の抜け穴を探りますので、最後までご覧頂けると幸いです。
1.大阪女児コンクリート事件の内容・事件の概要

- 2025年2月25日、八尾市内の集合住宅で管理人が「前入居者が置きっぱなしにした230kgの金属衣装ケースがおかしい」と通報。警察が開けたところ、コンクリートで固められた遺体を発見しました。 mainichi.jp+1
- 逮捕されたのは、大阪市平野区喜連在住の無職・飯森憲幸(41)容疑者。「十数年前に預かっていた姉の娘(およそ7歳)をコンクリートで固めた。2024年11月に父親の元の家へ運んだ」と供述しています。 mainichi.jp+1
- 司法解剖の結果、被害女児は死亡時6〜7歳という判断、死因は腹部の臓器破裂・強い外力による損傷とされました。 mainichi.jp
- 交際相手である柴田朱里(36)容疑者も3月6日、死体遺棄容疑で逮捕。衣装ケースの移動を手伝った疑いがあります。 mainichi.jp
2. 「あまり知られていない」事実:行政・家族・制度の隙間
この事件を単純な暴行・殺人事件として語るだけでは、見えないものが残ります。
以下、特に報じられていない、あるいは深掘りされていないポイントを整理します。
①「住民票削除」という“紙の上の消失”
2004年6月、祖父が市役所に「姉と孫がどこかへ行った」と届け出。
9月には八尾市役所が「居住実態なし」として姉+孫の住民票を職権で消除しました。 mainichi.jp
この時点で、女児は“社会から存在を確認されない子”になっていた可能性があります。
通常、住民票があれば就学・健康診断などで見える化されるはずですが、そのルートが断たれていたのです。
② 就学・児童福祉制度の“センサー”から外れていた
住民票消除によって、学校・児童相談所・警察のいずれにも“所在確認”されていませんでした。
行政も「児相通報もなかった」としています。 mainichi.jp
すなわち「誰も気づかなかった」のではなく「制度的に見えない状態にされていた」と言うほうが正確です。
③ “保管”されていた遺体:二段階遺棄の構造
飯森容疑者の供述によれば、2007年ごろ死亡した女児の遺体を金属製ケースでコンクリート固め。
長年どこかに保管した後、2024年11月に八尾の集合住宅に移動・遺棄。 mainichi.jp
この「殺害→長期保管→再遺棄」という構造は、加害側が“誰にも見つからないようにしていた”時間が長かったことを示します。
④ 家族の中の「会わせてもらえなかった母親」の存在
母親(姉)側は、「娘に会わせてもらえなかった」という供述をする報道があります。
本人確認は十分ではありませんが、もし真実なら“最初から分断”されていた家族構造が浮かび上がります。
加えて、祖父が2006年に「面倒を見られない」として預け直した経緯もあり、家族内の役割・責任が流動的だった可能性があります。
⑤ 制度整備は“事件発覚後”だった
国は2015年に「居所不明の子どもの情報を自治体で共有せよ」と通知を出しましたが、今回の被害女児はそれ以前に“紙の上で消失”していた世代。 mainichi.jp
つまり、この子が救えなかった構造は、制度の隙間そのものでした。
3. 被害女児に“なっていたはずの人生”を想像してみる
まだ6〜7歳。ランドセルを背負って、「あっ、これ見て!」と笑った日もあったかもしれません。
学校で友だちと鬼ごっこをして、「もうすぐ一年生になる」ってドキドキしていたかもしれません。
でもその子は、紙の上では「住民票を消された子」となり、制度の網の目からこぼれ落ち、そのまま誰にも見つけられずに命を奪われました。
その想像はあまりにも痛ましいですが、こうして“ひとりの人生”として捉えることで、制度の盲点も、家族の闇も、ひとつひとつリアルになります。
4. なぜこの事件を知っておくべきか
- 制度の隙間=「見えない子ども」:住民票消除、就学ルート断絶、児相通報なし。行政が見えない状態を作った構造的な問題を問い直す必要があります。
- 家族の内側=「預けられた子、預かった者」:親でもない、家族でもない立場で“預かる”という関係が生んだ盲点。
- 社会の忘却=「記録されない命」:データにも記録にも残らないまま消えた命。発覚しなければ、そのまま過ぎていた可能性もあります。
これらは他人事ではありません。
今も日本のどこかで「誰にも確認されず、支援されず、見えないまま」の子どもたちが存在している可能性があります。
5. 今後の監視ポイントとチェックリスト
以下のチェックリストは、この事件を機に「見えない子どもを作らないために」私たちが意識すべきことです。
- 住民票削除・職権抹消された子どもの実態を自治体は把握しているか?
- 少年期(就学前~小学校低学年)の子どもが所在不明になっていないか?
- 保護者の届け出直後、行政は現地確認や児相・警察への通報をしていたか?
- 家族が「預かる」形で子どもを引き受けた場合、その実態は行政に明らかになっていたか?
- 同様の制度の隙間(住民票・就学・福祉)を用いた過去の事例が報告されていないか?
大阪女児コンクリート詰め事件 年表(2002〜2025)
2002年頃
八尾市で祖父母・母(姉)・女児(玲奈さん)の4人暮らしが始まる。
👉 家族関係は穏やかだったが、家庭内で経済的・精神的な不安が増していたとされる。
2004年6月
祖父が八尾市役所に「娘と孫がどこかへ行ってしまった」と申告。
👉 行政は形式的に受理するが、実地確認は行われず。
2004年9月
八尾市が母子2人の住民票を「居住実態なし」として職権消除。
👉 この時点で、女児は行政データ上から“存在を消された”状態になる。
2006年10月頃
祖父が「自分では面倒を見られない」と言って、孫を弟(飯森憲幸)に預ける。
👉 一度「いなくなった」とされた孫が再び家族内で登場するという不自然な動き。
👉 行政には報告・確認記録なし。
2007年頃
飯森憲幸が「しつけのために叩いたら死んでしまった」と供述。
司法解剖では腹部の臓器破裂=強い打撃が死因と推定。
👉 故意・過失の線は今後の捜査焦点。
同年、金属製衣装ケースに遺体を横向きで寝かせ、コンクリートで密封。
👉 家族内で事件を隠蔽、外部への届け出なし。
2007〜2024年
衣装ケースはどこか別の場所で長期保管。
👉 一部報道では「当時の家族が認識していた可能性」も指摘。
👉 捜査では「黙認・共犯の有無」が焦点。
2015年(参考)
国が「居所不明児の情報を自治体内で共有せよ」と通知を出す。
👉 しかしこの子は既に“住民票消除済み”で対象外。
👉 制度整備が“遅れた世代”として象徴的存在に。
2024年11月
飯森容疑者と交際相手の柴田朱里が、衣装ケースを父親の元自宅(八尾市)に移動・再遺棄。
👉 230kgの金属箱を運搬。事件発覚のきっかけを作る。
2025年2月25日
集合住宅の管理人が「不審な金属箱」を通報。
警察がコンクリートを割ると女児の遺体を発見。
👉 18年越しに事件が表面化。
2025年2月28日
飯森憲幸(41)を死体遺棄容疑で逮捕。
「姉の娘を十数年前にコンクリで固めた」と供述。
2025年3月6日
交際相手・柴田朱里(36)も死体遺棄容疑で逮捕。
👉 共犯認否が今後の焦点。
2025年3月〜4月
行政責任問題が浮上。大阪府が全自治体に対し、
「職権消除された子ども」の所在確認を一斉点検。
👉 吉村知事「制度の盲点を見直す必要がある」と発言。
2025年4月
主要メディアが特集:「紙の上で消えた命」
👉 住民票・制度・家庭の“3つの断絶”が社会問題化。
要点まとめ
- 発生〜発覚まで18年
- 住民票抹消→行政確認なしで社会から消失
- 家族内部で預かり・暴行・封印→長期黙秘
- 2025年発覚→全国で制度点検へ
登場人物相関図(テキストビジュアル)
┌──────────────────────────────┐
│ 家族関係(八尾市内) │
│ │
│ [祖父(元入居者)]──┬──[姉=母親]──[玲奈さん(被害女児)] │
│ │ │
│ └──[弟=飯森憲幸(加害者)]──┬──[交際相手・柴田朱里] │
│ │
│ ※ 祖父:2004年「いなくなった」と申告、2006年に孫を弟へ預ける │
│ ※ 姉:会わせてもらえなかったと供述(報道) │
│ ※ 弟:しつけで暴行→遺体をコンクリ封印→再遺棄(逮捕) │
│ ※ 交際相手:運搬を手伝い共犯疑い │
└──────────────────────────────┘
🔸 相関関係の特徴
- 直系家族(祖父・母・娘・弟)の中で“完結”してしまった事件。
- 家族間の監視・外部通報が完全に途絶。
- 交際相手は「家庭外の唯一の目撃者」として新たな軸に。
責任フロー図(制度・家族・行政の流れ)
この事件の本質は「暴力」ではなく「責任が分断されたこと」。
以下は誰がどの時点で“止められた可能性”を持っていたかを整理したものです。
【家族】
祖父母
↓(2004年:いなくなったと申告)
八尾市役所
↓(職権消除/確認なし)
児童相談所(未介入)
↓(届出なし)
母(姉)
↓(再接触不能)
弟(飯森憲幸)
↓(2006年:預かり→2007年死亡)
コンクリ詰め密封→再遺棄
↓
交際相手(柴田朱里)
↓(2024年運搬)
【警察】
↓(2025年発見)
社会・メディア
↓
【行政再点検・制度改正へ】
🟠 分析ポイント
- 家族→行政の間で「報告」だけが行われ、「確認」が抜けた。
- “預かり構造”が虐待の可視化を妨げた。
- 行政チェックが機能するのは「住民票がある子ども」のみという盲点。
まとめ
この事件は、単に「ひどい殺人」ではありません。
“住民票を消された子ども”“誰にも確認されなかった子ども”という言葉の裏には、制度・家族・社会が無意識のうちに見過ごしてきた無数の“隙間”が存在します。
この6〜7歳の女児にとって、見えなかったこと=救われなかったこと、そして命の終わりは、まさに“誰にも見えないまま”でした。
だからこそ私たちは、記憶として残し、制度改正として確認し、家族・地域・社会が連携して「誰かを見えなくしない」ために動くべきです。
そして、この記事がその“気づき”の一歩になればと思います。
最後までご覧頂きましてありがとうございました。

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