― 26年間、時が止まった部屋が語る執念の記録 ―
「息子から母親を奪った犯人を実況見分に立ち会わせるまでは、この部屋を片付けない」
—— 夫・高羽悟さんの26年にわたる決意。
目次
名古屋主婦殺人事件・アパ-トの現在は?「加藤コーポ」に眠る真実に迫る!

名古屋主婦殺人事件の現場となったのは、
名古屋市西区稲生町5丁目6番地にある「加藤コーポ」という3階建てアパートです。
- 建築:1995年2月
- 構造:鉄骨造3階建て
- 総戸数:6戸
- 最寄駅:名古屋市営地下鉄鶴舞線「庄内通駅」徒歩8分
- 被害者:高羽奈美子さん(当時39歳)
- 居住:2階201号室
この一室が、26年の時を経てなお「真実の証拠」を保ち続けていました。
あまり知られていない重要な5つの事実
1️⃣ 現場を26年間借り続けた夫の執念
事件後、夫の高羽悟さんは現場の201号室を26年間借り続けました。
- 家賃総額は2,000万円超
- 「一つたりとも証拠を失いたくない」という決意で契約を維持
- 室内は事件当時のまま保存
- 壁には1999年11月のカレンダー
- 玄関には犯人の血痕が変色したまま残存
- 2025年10月、安福久美子容疑者が出頭・逮捕された際に
「これで部屋も片付けられる」と語った(読売新聞報道)
🕯️ 夫の執念が、事件解決の糸口を26年後に呼び戻した。
2️⃣ 発見のきっかけは「柿のおすそ分け」
発見の経緯も、あまり知られていない驚くべき偶然でした。
- 1999年11月13日 午後2時30分ごろ
- アパートの大家の妻が、庭で採れた柿を配っていた
- 3階から順に回り、201号室へ到着
- インターホンに応答がなく、ドアノブに袋を掛けようとしたところ
鍵がかかっておらず、ドアが開いてしまう - 廊下の奥に、人の足が見えたため通報
→ 高羽奈美子さんは口から大量に血を流し、うつ伏せで倒れていた
この「柿のおすそ分け」がなければ、発見はさらに遅れていた可能性もあります。
3️⃣ アパート構造が犯人の逃走を助けた
「加藤コーポ」は構造上、逃走に有利な動線を持っていました。
- 北側には駐車場が隣接
- 正午頃まで住人が洗車していたが、作業直後に犯行発生
- 午後1時前後、「ドスン」という音と階段を駆け下りる足音を複数住人が証言
- 血痕は玄関→階段→外→稲生公園(約500m先)→NTT社宅裏へと続く
👣 さらに、
玄関の血痕付き靴跡の配置から、犯人はドアスコープ越しに外を警戒し、
逃走前に洗面所で自らの手の傷を洗った痕跡も残されていました。
4️⃣ 現場に残された「謎のミルミルE」
キッチンには、飲みかけの乳酸菌飲料「ミルミルE」が置かれていました。
- 被害者家族には飲む習慣なし
- 玄関に少量のミルミル液体が吐き出された跡
- 商品は愛知県西三河地区限定流通品(現場から約35km離れた製造工場)
- DNA・指紋は検出されていない
これは犯人が持ち込んだものか?
それとも第三者の関与を示す「異物」だったのか?
いまも完全な解明には至っていません。
5️⃣ 「生活の途中」で止まった時間
発見当時の室内には、
「突然の襲撃」を物語る数々の痕跡がありました。
- 掃除機が出しっぱなし
- テレビがつけっぱなし
- こたつにはふやけたカップ麺
- 2歳の長男は幼児椅子に座り、おもちゃで遊んでいた(無傷)
- 現金・貴金属などは一切手つかず
金銭目的ではなく、被害者個人を狙った強い怨恨や感情的動機が推測されます。
事件タイムライン
| 年月日 | 出来事 |
|---|---|
| 1995年2月 | 「加藤コーポ」建設(鉄骨造3階建) |
| 1999年11月13日 | 名古屋主婦殺人事件発生(午後1時前後) |
| 同日午後2時30分 | 大家の妻が遺体発見・通報 |
| 2000〜2025年 | 夫が現場を保存し続ける(26年間) |
| 2025年10月31日 | 夫の高校同級生・安福久美子容疑者(69歳)が出頭・逮捕 |
現場構造マップ(テキストビジュアル)
北(駐車場・逃走方向)
↑
[NTT社宅]
↑
[稲生公園]
↑(血痕が続く)
┌────────────┐
│ 201号室(被害者宅) │ ←2階
│ ├ 玄関:血痕・靴跡 │
│ ├ 洗面所:血洗い痕 │
│ └ キッチン:ミルミルE │
└─────┬─────┘
↓
階段→駐車場
捜査チェックリスト(要点整理)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 現場保存 | 夫が26年間借り続けた(家賃総額2,000万円) |
| 主要証拠 | 血痕・靴跡・ミルミルE・DNA検査物 |
| 逃走経路 | 稲生公園〜NTT社宅裏まで血痕続く |
| 発見経緯 | 大家の妻の「柿配り」で偶然発見 |
| 動機線 | 被害者と加害者の高校時代の関係が焦点 |
| 2025年進展 | 容疑者(高校同級生女性)が自首・逮捕 |
まとめ
「あの部屋を守り続けてきた時間は、母と息子のためだった」
—— 夫・悟さんの言葉に、多くの遺族が涙した。
名古屋市西区の一角で、26年間止まり続けた時計がようやく動き出しました。
「真実を待ち続けた部屋」は、いまも無言で人間の記憶と執念を物語っています。
心から哀悼の意を表します。


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