「もう、ただの特殊詐欺ではない」――AI、暗号資産、政治汚職が絡み合う“新時代の国際犯罪”。
2025年10月、米英両政府が制裁を発表したカンボジアの巨大犯罪組織「プリンス・グループ」。
その首領・陳志(チェン・ジー)が築き上げたのは、もはや“国家をも飲み込む詐欺帝国”でした。
そこで今回この記事では
- トクリュウのカンボジア巨大詐欺拠点とは?かけ子の実態・AI最新手口・1兆円犯罪帝国の深層構造
に迫りますので、ぜひ最後まで読んでいってください!
それでは、早速始めましょう!
トクリュウのカンボジア巨大詐欺拠点・組織の首領と規模の全貌

陳志(チェン・ジー):1兆円詐欺帝国の黒幕
福建省出身の37歳、陳志(チェン・ジー)。
カンボジアの2人の首相(フン・セン、フン・マネット)の“顧問”として政権中枢に食い込みながら、裏では史上最大級の詐欺ネットワークを操っていました。
- 犯罪収益:約 1兆5340億円
- 米国民だけで 100億ドル以上を詐取
- 世界117社の関連企業を所有
- 資産 約120億ドル(1兆8452億円) 凍結
- プノンペンに24億円の豪邸を所有
この“経済帝国”は、一見すると正当な不動産・観光企業の顔を持ちながら、その実態は詐欺・監禁・拷問・マネーロンダリングの複合犯罪拠点でした。
驚異の拠点規模と「豚小屋」支配
ポイペト:1拠点1000人が活動
北西部の国境都市・ポイペトには、1カ所に約1000人もの詐欺実行者が集結。
日本人、台湾人、韓国人、マレーシア人らが“かけ子”として働かされていました。
カンボジア全土で50拠点以上、推計15万人超が詐欺行為に従事。
年間収益は125億ドル(約1兆8000億円)に達すると報じられています。
(出典:東京新聞)
「豚小屋」での暴力支配
帰国した29人の日本人が語ったのは、地獄のような労働環境でした。
- 耳をライターで焼かれる
- 爪を剥がされる
- 「日本に帰りたい」と口にすると暴行
- 家族への危害を示唆して脅迫
「毎晩、“反省会”という名の暴力があった」
― 被害者証言より(時事通信)
かけ子たちは「豚小屋」と呼ばれる部屋に閉じ込められ、朝から晩まで詐欺電話をかけ続ける。
報酬は詐取額のわずか数パーセント。
暗号資産で支払われることも多く、逃げ場はありませんでした。
組織構造:中国人支配の三層ピラミッド
最上層:陳志を中心とする黒幕層
- 世界規模のマネーロンダリング網を構築
- 政治・軍・企業を巻き込む汚職ネットワーク
中間層:現地管理者(中国人8人前後)
- ノルマ設定と暴力による監視
- 通訳・送迎・拷問まで統括
- 日本とカンボジアを往復し、実行部隊を制御
下層:実行犯(多国籍の“かけ子”)
- 日本人・台湾人・韓国人など
- SNSや「闇バイト」経由で勧誘
- 実質的には監禁労働の“現代奴隷”
SNSの先を行く勧誘手口:ゲームで狙われる若者
オンラインゲーム内チャットを悪用
SNS規制をかいくぐるため、オンラインゲームのチャット機能を利用した勧誘が急増中。
自然な会話から親密になり、「高収入の仕事がある」と持ちかけて連行する手口です。
「月120万円」「簡単に稼げる」
― 誘い文句の裏に潜む“誘拐型リクルート”
2024年には、兵庫県姫路市の21歳男性がカンボジアに連れ去られ、誘拐容疑で7人が逮捕される事件も発生しています。
AIと暗号資産が支える最先端詐欺
生成AIチャットボットで自動化
- AIが被害者対応を担当(24時間稼働)
- 翻訳ソフトで多言語詐欺を展開
- マネーロンダリングまで自動処理
米中経済安全保障委員会報告によると、2024年のディープフェイク詐欺は前年比3000%増加。
わずか数秒の音声から“家族の声”を再現可能。
国際電話詐欺の激増
「+」から始まる国際番号の特殊詐欺は、2025年上半期だけで4万7005件(前年比2.5倍)。
全特殊詐欺の7割を占めるという異常事態です。
暗号資産による巧妙な資金洗浄(マネ-ロンダリング)
2025年10月、米司法省は陳志が保有していた
ビットコイン12万7271枚(約150億ドル=約21兆ウォン) を押収。
史上最大規模の暗号資産摘発となりました。
マネーロンダリングには「スプレイ(拡散)」や「ファンネリング(再集約)」などの手法が使われ、
追跡を困難にする構造的な仕組みが作られていました。
なぜカンボジアなのか? 見えない国家の闇
- カジノ利権と独裁体制の癒着
- フン・セン親子政権による黙認構造
- 中国からの巨額投資と“治外法権化”
- 賄賂社会で司法・警察が機能不全
- 密入国が容易な地理的条件
「国家ぐるみで詐欺が守られている」
― 国際ジャーナリスト(JBプレス)
被害の実態:2025年、過去最悪の特殊詐欺
- 上半期だけで 1万3213件(過去最多)
- 被害総額:全国で 700億円超(前年比+60%)
- カンボジア拠点由来の被害:14億円(わずか4カ月)
特に増加しているのが「ニセ警察詐欺」。
LINEビデオ通話で“警察官になりすまし”、本人確認を装って個人情報を奪います。
結論:国際犯罪の新時代へ
トクリュウのカンボジア拠点は、単なる詐欺グループではありません。
それは――
- 政治権力と結びついた犯罪帝国
- AIと暗号資産を駆使するテクノロジー犯罪
- 多国籍の被害者・加害者が入り乱れる現代奴隷システム
- 人権侵害と経済犯罪の融合構造
米英政府による制裁は、「国家と犯罪の境界が消えた」現代の現実を突きつけています。
🔗 関連リンク・出典
- 朝日新聞、読売新聞、東京新聞、時事通信
- JBプレス、Chainalysis、米司法省報告書
- 米中経済安全保障検討委員会レポート
トクリュウ詐欺帝国 年表(2018〜2025)
| 年 | 主な出来事 | 詳細 |
|---|---|---|
| 2018年 | 陳志(チェン・ジー)、プリンス・グループ拡大 | 不動産・観光事業を装い、カンボジア政府との密接な関係を構築。カジノ・投資事業を通じて中国資本を呼び込み始める。 |
| 2019年 | ポイペト・シアヌークビルに拠点設置 | オンライン詐欺の実験的拠点が稼働。中国人技術者を中心に通信網・通話システムを構築。 |
| 2020年 | 詐欺オペレーション拡大期 | 新型コロナ流行下で「投資詐欺」「恋愛詐欺」が爆発的に増加。日本・台湾・韓国の若者がリクルート対象に。 |
| 2021年 | 「豚小屋」監禁システム確立 | 人身売買と監禁が常態化。逃亡者に対する暴力・焼却・拷問の映像が闇市場に出回り始める。 |
| 2022年 | 暗号資産マネーロンダリング本格化 | Bitcoin、USDTを利用した資金洗浄ネットワークが形成。東南アジア全域で活動拠点が拡散。 |
| 2023年 | AI詐欺導入 | 生成AIチャットボットとディープフェイク音声を導入。電話詐欺の自動化に成功し、詐欺精度が急上昇。 |
| 2024年 | SNS→オンラインゲームへ勧誘ルート転換 | 規制強化を受け、ゲーム内チャットを利用した新手口が登場。日本人大学生の誘拐事件(姫路市)発生。 |
| 2025年2〜5月 | 日本人かけ子拠点を摘発 | カンボジア・ポイペトで日本人29人拘束、14億円の被害が判明。国際的な関心が高まる。 |
| 2025年7月 | 国際調査報告「AI詐欺国家」発表 | 米・EUがカンボジアを「国際サイバー詐欺ハブ」として警告。 |
| 2025年10月 | 米英による制裁・ビットコイン押収 | 陳志およびプリンス・グループに制裁発動。ビットコイン12万枚(約150億ドル)押収。 |
| 2025年11月 | 国際指名手配へ | 陳志が国際刑事警察機構(ICPO)により手配。カンボジア政府は沈黙。 |
組織構造マップ(上層〜下層)テキストビジュアル
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【頂点層:黒幕】
👑 陳志(チェン・ジー)
└─ プリンス・グループ会長
└─ 資産1兆円超、AI詐欺網を統括
└─ 政府要人(フン・セン/フン・マネット)と密接関係
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【第2層:中間指揮層(中国人幹部8人前後)】
📍 ポイペト/シアヌークビル駐在
├ 33歳男(主幹部)&22歳妻:拠点統括
├ 経理・送金・暗号資産管理チーム
├ 「教育班」:マニュアル・訓練担当
└ 「監視班」:暴力・拘束・通信監視
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【第3層:実行層(多国籍かけ子)】
💻 日本人/台湾人/韓国人/マレーシア人
└ SNS・闇バイト・オンラインゲーム経由で勧誘
└ パスポート没収、豚小屋に監禁
└ 毎日ノルマと“反省会”で心理的支配
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【第4層:外部協力層】
💸 マネロン業者・暗号資産取引所・偽IT企業
└ 送金代行・分散トランザクション
└ 取引記録を消去・再集約
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【防衛・政治庇護層】
🇰🇭 政府高官・警察・軍関係者
└ カジノ利権との癒着
└ 賄賂により摘発回避
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資金フロー&制裁対応チャート(テキスト版)
【1】詐欺実行(カンボジア拠点)
↓
かけ子(日本人・多国籍)
→ 被害者(日本・米・台湾など)へ電話・チャット詐欺
→ 暗号資産ウォレット/銀行口座へ入金
【2】収益集約(現地管理者)
↓
現地幹部が暗号資産に変換
→ 海外取引所(香港・シンガポール・ドバイなど)へ送金
→ “スプレイ手法”で数千アドレスに分散
【3】再集約・洗浄
↓
“ファンネリング”により再統合
→ フロント企業(不動産・観光・カジノ運営)へ投入
→ 正規収益として表面化
【4】黒幕層(陳志)へ還流
↓
プリンス・グループ経由で
→ 政治献金・インフラ投資へ再投資
→ カンボジア政府との関係強化
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【5】国際制裁・摘発対応(2025年10月以降)
🔹 米司法省:
→ ビットコイン12万7271枚(約150億ドル)押収
→ 米金融機関経由の取引凍結
🔹 英政府:
→ 関連企業117社の資産凍結
→ 取引銀行口座・不動産を差押え
🔹 国際刑事警察機構(ICPO):
→ 陳志および幹部数名を国際手配
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【最終状況】
💣 カンボジア政府:沈黙を貫く
💣 陳志:消息不明、国外逃亡の可能性
💣 各国:暗号資産追跡・AI詐欺対策を強化中
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まとめ
「もう、“詐欺”という言葉では足りない。」
トクリュウ事件は、テクノロジーと権力が結びつく“新たな犯罪国家”の誕生を示しています。
日本人が再び巻き込まれないためには、「海外の闇経済」を正しく知ることが第一歩です。

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